万162.由緒ある野草 力芝
チカラシバは、恐らく、子供時代に野原で過ごしたことのある方には馴染の野草だと思います。子供の頃に、悪さをして人を転ばせたりして顰蹙を買った人もいることでしょう。なにしろとても丈夫な草です。力芝はなんと万葉集でも詠まれている由緒ある(?)植物なんですね。とは言え、昔から邪魔者扱いですが。
チカラシバ(力芝、学名:Pennisetum alopecuroides)は、東・東南アジア原産でイネ科チカラシバ属の多年草の雑草です。日本全国の道端や野原に群生しています。草丈は50~90 cmです。葉は緑色の線形で幅5-6 cmで、長さ30-70 cmです。8月~10月に花茎先端から円柱状の長さ10~15 cmの花序を伸ばし、倒卵形をした長さ0.8cmの小穂を付けます。雌性先熟です。小穂は第1小花と第2小花から構成されます。穂の剛毛は紫がかった色か、緑色をしています。花穂(花序)は円柱状なのでブラシに似ています。11月~12月に頴果を成らせます。
ちょっと困った野草
木質化した細かい髭根が地中にしっかり定着し、強靭なので、抜くのが大変です。野原で子供が力芝を何本か結んで足に引っ掛けて喜んでいるような悪さに使われたりします。晩秋から秋に実が熟すと小穂が軸から外れ動物などに突き刺さり引っ付き虫となって遠くへ運ばれます。
万葉集 第11巻 2777号
作者: 作者不詳
題詞:(寄物陳思)
登場する草木:柴草=チカラシバ
原文
疊薦 隔編數 通者 道之柴草 不生有申尾
よみ
畳薦(たたみこも) へだて編(あ)む数(かず) 通はさば 道の芝草(しばくさ) 生(お)ひずあらましを
意味
薦(こも)を何回も編んで畳ができるほど あなたが私の元に何回も通われたなら 道の芝草(チカラシバ)も 生えたりしなかったでしょうに。
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