新聞小説 クマガイソウ(熊谷草、学名:Cypripedium japonicum)

新聞小説を読んでいたら、たまたま庭に咲いているクマガイソウの話が出ていました。この花日記でも、最近、源平の戦いに関連した植物を話題にしたのでアツモリソウと比較して取り上げました。

クマガイソウ(熊谷草、学名:Cypripedium japonicum)は、ラン科アツモリソウ属の落葉性多年草です。草丈は20〜40 cmで、長い地下茎で殖して群落を作ります。葉は幅が10~20 cmの大きな扇状で、花柄上部に2枚向き合の(対生)形で付きます。4月〜5月に、葉の間から出た花茎先端から、単頂花序を伸ばし直径10 cmほどの袋状の唇形花を咲かせます。外花被片は、背萼片1枚と(2枚の側萼片が合着して1つになった)側萼片1枚から構成されます。花弁(内花被片)は、唇弁1枚と側花弁2枚から構成され、側花弁は薄緑、唇弁は白地に褐色模様があります。繁殖にはニセハイイロマルハナバチが関係する虫媒花で、蜂が唇弁に入ってもがきながら脱出する際に花粉を身にまとい、次に雌花に行き着くと受粉する仕組みとなっています。


クマガイソウとアツモリソウ



クマガイソウ(熊谷草、学名:Cypripedium japonicum)
アツモリソウ

左 クマガイソウ(熊谷草、学名:Cypripedium japonicum)
右 アツモリソウ(敦盛草、学名:Cypripedium macranthos var. speciosum)

「クマガイソウ(熊谷草)」という花名は、源平合戦で平家の平敦盛を討ち取った源氏の武将 熊谷直実が背負っていた母袋(ほろ)と、花が似ていることからつけられました。因みに、母衣とは、背中に流れ矢が刺さるのを防ぐ布です。

同属の花に、アツモリソウ(敦盛草、学名:Cypripedium macranthos var. speciosum)があり、これは熊谷直実に打ち取られた年若い平敦盛を惜しんで作られた名前の様です。

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クマガイソウ(熊谷草、学名:Cypripedium japonicum)
アツモリソウ(敦盛草、学名:Cypripedium macranthos var. speciosum)
新聞小説 クマガイソウ(熊谷草、学名:Cypripedium japonicum) かぎけん花図鑑 花日記2024年6月17日(月)
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