万171. 日本最古の植物染料 山藍

ヤマアイ(山藍、学名:Mercurialis leiocarpa)は、日本や中国等が原産でトウダイグサ科ヤマアイ属の多年生草本植物です。本州~琉球半島の山林の薄暗い下床に群生します。草丈30~40 cmで、茎断面は四角形です。長い葉柄の先に付いた葉は10cm程の楕円形で葉縁に鋸歯があり茎に対生に付きます。雌雄異株です。葉腋から花柄を出し、小さな穂状花序を伸ばします。花には雄花、雌花ともに花弁はありません。雄花は球形の3裂した萼がありそこから白い葯を持つ雄蕊を多数出します。雌花には2個の棒状体と1つの雌蕊があります。写真は尾花です。染料に使われました。


万葉集に出てくる「山藍」の歌


この歌は「シラカシ(白樫、学名:Quercus myrsinaefolia)」の所でも出ています。

万葉集 第9巻 1742番歌 高橋虫麻呂
この歌は、【長歌(5・7・5・7・5・7音を3回以上 +最後に7音)】で、5・7・5・7・5・7音を8回以上 +最後に7音)から成ります。


原文読み


級(しな)照る(5音) 片足羽河(かたしはがは)の(7音) さ丹(に)塗りの(5音) 大橋の上ゆ(7音) 紅(くれなゐ)の(5音) 赤裳すそびき(7音) 山あゐもち(5音) すれる衣(きぬ)着て(7音) ただひとり(5音) い渡らす兒は(7音) 若草の(5音) 夫(つま)かあるらむ(7音) かしの実の(5音) ひとりか寐(ぬ)らむ(7音) 問はまくの(5音) ほしき我妹(わぎも)が(7音) 家の知らなく(7音)(高橋虫麻呂 巻9-1742)


意味


片足羽河に架かる朱塗りの大橋の上を、紅色の赤裳の裾を引いて、山藍で染めた着物を着て、たった独りで渡っている、あの娘は、夫がいるの身だろうか。あるいは樫の実のように独りで寝ているのだろうか。聞いてみたいものだが、あの娘の家が分からない。

花言葉や詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

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