家持さんの激🤨🏹万葉集草木110.ハゼ(ヤマハゼ)

ハゼノキ(櫨の木、学名:Rhus succedanea)は、日本~朝鮮半島、中国、東南アジア原産で、ウルシ科ヌルデ属ハゼノキ種の落葉高木です。樹液はウルシヤマウルシと違い塗料とはなりません。
万葉集時代の「ハジ(波自)」は、ハゼ(ハゼノキ)と言われますが、現在のヤマハゼ(Rhus sylvestre)ではないかとされます。 ハゼとヤマハゼの違いは葉に毛があるか無いか見分けます。ハゼノキの葉は無毛ですが、 ヤマハゼの葉には毛が生えています。ハゼノキは木蝋を作るのが目的で栽培されましたが、ヤマハゼでは蝋は作らず木材から弓矢を作ったり芯材や紅葉を煮だして鮮黄色と黒色の染料を作るの用いました。天皇の黄色がかった御衣は「黄櫨染め」と呼ばれます。


万葉集とハゼノキ(ヤマハゼ)


万葉時代の「ハジ」は、「ハゼ」とされますが、ハゼは九州経由で入って来た現在のハゼ(琉球ハゼ)に置き換えられてしまい、従来のハゼはヤマハゼと呼ばれるようになりました。


万葉集 第20巻 4465番歌


作者:大伴家持
題詞:喩族歌一首
   天平勝宝8年6月17日
登場する草木:ハジ(波自、万葉時代の名前)=ヤマのハゼノキ

大伴家持が淡海真人三船(おうみのまひとみふね)の讒言により出雲守職を解任された時に、大伴一族が誇りを失わないように詠んだ歌です。いわく、大伴家がいかに由緒ある名家であるか、子々孫々に渡り大伴の名を絶やさぬようにと長歌で詠んでいます。「ハジの弓」は歌の始めの方で出て来るので、そこまでをご紹介します(長文なので)。


原文


比左加多能 安麻能刀比良伎 多可知保乃 多氣尓阿毛理之 須賣呂伎能 可未能御代欲利 【波自】由美乎 多尓藝利母多之 麻可胡也乎 多婆左美蘇倍弖 於保久米能 麻須良多祁乎々 佐吉尓多弖 …


読み


比左加多(ひさかた、久方)能(の) 安麻(あま、天)能(の)刀(と、戸、門)比良伎(ひらき、開き) 多可知保(たかちほ、高千穂)乃(の) 多氣(たけ、岳)尓(に)阿毛理(あもり、天降り)之(し) 須賣呂伎(すめろき、皇祖)能(の) 可未(かみ、神)能(の)御代(みよ、御代)欲利(より) 波自(はじ→ハゼのこと)由美(ゆみ、弓)乎(を) 多(た、手)尓藝利(握り)母多(もた、持た)之(し) 麻(真、ま)可胡(鹿子、かご)也(矢)乎(を) 多(手、た)婆左美(ばさみ、挟み)蘇倍(そへ)弖(て) 於保(おお、大)久米(くめ)能(の) 麻須良(ますら)多祁(たけ)乎々(をを) 佐吉(さき、先)尓(に)多弖(たて、立て) …

久方の 天の門開き 高千穂の 岳(たけ)に天降(あも)りし 皇祖(すめろき)の 神の御代より 【波自(はじ→ハゼ)】弓を 手握り持たし 真鹿子矢を 手挟み添へて 大久米の ますらたけをを 先に立て …


意味


天の門を開いて 高千穂の 峰に天降られた 皇祖(すめろき)の 神の時代より 【ハゼ】の弓を 手に握り持って 真鹿子矢を 手に挟んだ 大久米の つわものを 先頭に立てられた。 …

神代の代から大伴家は天皇に仕えている名家だが、この度、讒言によって自分が失脚することになったが、大伴家の先祖代々の名跡を絶やさないよう大伴家の一族に家持さんが飛ばした激(長歌)です。

詳しくはこちら ... 以下本文に続く


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