ススキ
万葉集でよまれた草木
- 花名ススキ
- 学名Miscanthus sinensis
- 別名オバナ, 薄, 尾花, Miscanthus sinensis, susuki
- 原産地日本、中国など東アジア
- 開花場所野原・畦道, 庭, 切り花・生け花, 植物園, 公園, 観葉植物
- 開花期9月, 10月, 11月
- 花言葉活力、心が通じる
ススキとは
ススキ(薄、学名:Miscanthus sinensis)は、日本、中国などの東アジア原産でイネ科ススキ属の耐寒性多年草です。別名でオバナ(尾花)や、カヤ(萱、茅)とも呼ばれます。日本全国の山野に自生し、秋を代表する風物詩となっています。草丈は100〜200 cmです。葉は緑色で、線形、葉縁に歯牙があります。9月~11月に、25〜30cmの花序を伸ばし薄茶色の小穂を付けます。残念ながら、ススキの花粉はアレルギーの原因となります。飛散するシーズンは8月~10月です。葉に斑入り品種はヤハズススキ(矢筈薄)、タカノハススキ(鷹羽薄)、ヤハネススキ(矢羽薄)、トラフススキ(虎斑薄)などのように呼ばれます。外来種のセイタカアワダチソウ(背高泡立草、学名:Solidago canadensis var. scabra)が勢力を増し、ススキの生息域に侵入して大繁殖しています。
万葉集とススキ
万葉集 第10巻 2110番歌
作者:不詳
題詞:(詠花)
登場する草木:乎花(おばな)=ススキ
原文
人皆者 芽子乎秋云 縦吾等者 乎花之末乎 秋跡者将言
読み
人皆は 萩を秋と言ふ よし我れは 尾花が末(うれ)を 秋とは言はむ
意味
みんな 萩を秋の代表選手のように言うけれど まぁいいわ 私は ススキこそ 秋の代表だと言うわ。
万葉集第17巻4016番歌
万葉集でも「すすき」という名で詠まれています。下は雪の中でススキを詠んだ歌です。
作者:不詳、題詞:高市連黒人歌一首(たけちのむらじくろひと)
原文
賣比能野能 須々吉於之奈倍 布流由伎尓 夜度加流家敷之 可奈之久於毛倍遊
よみ
賣比(めひ)能(の)野能(の) 須々吉(すすき)吉於(押し)奈倍(なべ) 布流(降る)由伎(雪)尓(に) 夜度(宿)加流(借る)家敷(今日)之(し) 可奈之久(悲しく)於毛倍遊(思ほゆ)
↓
婦負(めひ)の野の すすき押しなべ 降る雪に 宿借る今日し 悲しく思ほゆ
意味
婦負(めひ)の野の ススキを押さえて 降る雪に 宿を借りる(野宿する)今日は 悲しく思われます。
中秋の名月にススキ登場
8月の中秋で月に供える添える団子(里芋の代わり)や果物、酒などとともに、この時期ではまだ実らない稲の代わりにススキの穂が使われます。ススキは中空なのでそこに神様が宿るとされました。
花言葉
花言葉は、「活力、心が通じる」です。
秋の七草
秋の七草の一つにも選ばれ、時にうら悲しい雰囲気を醸し出します。因みに秋の七草は、以下の7種類です。
「萩の花 尾花 葛花 なでしこが花 をみなへし また 藤袴 朝顔が花(今の桔梗)」(山上憶良、万葉集)
ハギ(萩、学名:Lespdezap.)、尾花=ススキ(薄、学名:Miscanthus sinensis)、クズ(葛、学名:Pueraria montana var. lobata)、なでしこ=カワラナデシコ(河原撫子、学名:Dianthus superbus "longicalycinus")、オミナエシ(女郎花、学名:Patrinia scabiosifolia)、フジバカマ(藤袴、学名:Eupatorium japonicum)、昔の朝顔=今のキキョウ(桔梗、学名:Platycodon grandiflorus)です。
ススキを詠んだ俳句
山は暮て 野は黄昏の 芒かな 蕪村
名月や 明けて 気のつく芒疵 一茶
あゝ誰ぢや 下女が枕の 初尾花 芭蕉
恋人を かくした芒 かれにけり 一茶
雁低く 芒の上を わたりけり 正岡子規
一般名:ススキ(薄)、学名:Miscanthus sinensis、別名:オバナ(尾花)、カヤ(萱、茅)、分類名:植物界被子植物単子葉植物綱イネ目イネ科ススキ属、原産地:日本、中国などの東アジア、環境:平地、山地、草丈:100〜200 cm、葉形:線形、葉色:緑色、葉縁:歯状、花色:薄茶、小穂径:0.5-0.7 cm、花序高:25〜30cm、開花期:9月~11月、花粉飛散時期:8月~10月、用途:花材、屋根葺材、炭俵、畜産、冬囲材。