ザクロ
果実の季語:秋
- 花名ザクロ
- 学名Punica granatum
- 別名セキリュウ, 石榴, Pomegranate, 柘榴
- 原産地イラン、アフガニスタン
- 開花場所庭, 果樹園
- 開花期6月, 7月, 8月, 9月
- 花言葉円熟した優雅さ
ザクロとは
ザクロ(石榴、学名:Punica granatum)はイランやアフガニスタン原産でミソハギ科ザクロ属の耐寒性落葉小高木です。セキリュウやPomegranateともよばれます。日本では、東北〜沖縄の日のあたる場所に自生するほか、庭木で植えられます。成長は遅く、樹高は3~7mです。葉は緑色の楕円形で光沢が有り全縁で互生して付きます。
雌雄同株で雄花と両性花があります。夏に集散花序を伸ばし直径5cm程の朱赤の六弁花を咲かせます。ヒヨドリ(学名:Hypsipetes amaurotis)などの鳥が花粉を運ぶ鳥媒花です。
秋に、7~10 cmの赤い漿果を成らせます。果実は熟すと皮が裂けて一種独特の風貌となります。果実の中には小さな種子が多数入っています。
ザクロの用途
果実は食用となり生食やジュース、グレナデン・シロップにされます。また、果皮は石榴皮(セキリュウヒ)、根皮は石榴根皮(セキリュウコンピ)と呼ばれる生薬の原料とされます。他に、木は庭木などの観賞用に、材は柱材に使われます。
中国の年画に描かれる 多福多寿多子
中国で春節(旧正月)に飾られる縁起の良い絵「年画」には、果物の「仏手柑」や、「桃」、「ざくろ」の絵が描かれており「多福多寿多子」の願いを込めています。下に示すように、ザクロは「多子」を願って描かれています。
「多福」は、発音が同じ、中国語で「福仏(フー・フォー)」をあらわす「仏手柑(ぶしゅかん)」。
「多寿」は、西王母の花園に成る桃の実を食べると六百年寿命を増やすことができたという「不老長寿」伝説から「桃」、
「多子」は、中国では子は種という発想があり、種が多数あるざくろに「子孫繁栄」の願いを込めた。
ザクロが出てくる文学
山本周五郎 「柘榴」
登場人物 真沙(嫁)、松室昌蔵(良人)、中老 戸沢数右衛門(仲人)
「嫁側家系図」 井沼家(真沙)
父 玄蕃 御槍奉行、兄弟 真一郎、源次郎、主人公 真沙
「良人側家系図」 松室家(昌蔵)
祖父 長左衛門 刃傷沙汰で中老から番頭に格下げ、
父 伊太夫 深酒で平徒士(ひらかち)に格下げ、
良人 昌蔵 平徒士からの出世を意気込む
仲人 戸沢数右衛門(中老) 縁談の話を持ってきた
17歳の真沙は24歳の昌蔵に嫁いだ。嫁ぎ先は3代没落傾向のある松室家だ。父は当初、気乗りしなかったが、仲人の戸沢数右衛門(中老)に押し切られる。真沙は嫁ぐ日の出立前に庭へ抜け出し、色づき始めた葉鶏頭のところで激しく泣いた
嫁いではみたが、年齢の割に未熟な真沙は、恐怖と苦痛と不眠とで、数日で憔悴した。その様子に気付いた姑がさりげなく色いろ話してくれて漠然とした恐怖は消えたが、その言葉の中にあった「おんなという者のつとめだから、」という表現がつよく頭に残った。良人も嫁同様、未熟であり、精神的にも弱いが、今の境遇に甘んぜず、世して嫁にいい生活をさせてやろうという欲望は強い。
嫁いですぐ、昌蔵は熟れた柘榴ざくろの実を割って眺めていたが、ふと真沙をかえり見て割った果実を示しながら、「この美しい実をごらん。私にはこれがおまえのからだのようにみえるんだよ」といった。
ある時、昌蔵の公金横領が発覚し、真沙に置手紙をしていずこへともなく去り、松室家はお取り潰しとなった。
さて、真沙の運命はいかに?
詳しいお話は、青空文庫へ、
一般名:ザクロ(石榴)、学名:Punica granatum(ピューニカ・グラナーツム)、別名:セキリュウ(石榴)、punic、Pomegranate(ポメグラネート)、分類名:植物界被子植物門双子葉植物綱フトモモ目ミソハギ科ザクロ属、原産地:イラン、アフガニスタン、生息分布:東北〜沖縄までの日本、環境:日のあたる場所、生活型:落葉小高木、樹高:300~700 cm、葉質:光沢有、葉形:卵形・楕円形、葉色:緑、葉序:対生、葉縁:全縁、雌雄同株、雄花と両性花、離弁花、花序形:集散花序、花色:朱赤、花弁の配列:バラ形、花径:5 cm、開花期:6月~9月、花弁数:6枚、萼形:筒状、萼数:6枚、雄蕊数:多数、果実型:漿果、果実形:卵形、実色:赤(一般的)、白、黒、結実期:秋、観賞期:9月-11月、果実径:7~10 cm、用途:木は庭木などの観賞用、材は柱材に、果実を生食やジュース、グレナデン・シロップ、特記:成長が遅い、鳥(ヒヨドリ)が花粉を運ぶ鳥媒花。