ミツバツツジ
Rhododendoron dilatatum
ツツジ属シリーズ10.三葉躑躅
- 花名ミツバツツジ
- 学名Rhododendoron dilatatum
- 別名三葉躑躅
- 原産地日本固有種
- 開花場所庭, 植物園, 低山
- 開花期3月, 4月
ミツバツツジとは
ミツバツツジ(三葉躑躅、学名:Rhododendoron dilatatum)とは、日本固有種で、ツツジ科ツツジ属の落葉広葉低木です。開花の早いツツジです。関東から近畿の太平洋側の雑木林に自生します。ツツジは漢字で「躑躅」と書きますが、この躑躅(てきちょく)とは「足掻く」と言う意味です。羊などの動物がツツジの花を食べると足掻いて倒れてしまうことが語源ですが、毒性のあるツツジはレンゲツツジだけでそれ以外は無毒です。葉が3枚ずつ枝に輪状に付くツツジというのが花名の由来です。用途は、庭木や、鉢植えです。
三つ葉ツツジの身体検査
樹高は100〜300 cmです。枝は細く、すんなり上に伸びます。葉は緑色で菱形状広卵形をしており、葉縁は全縁で多少波打ちます。葉が出る前に花を咲かせます。3月中旬から4月中旬に、枝先に2~3輪の花を咲かせます、花は漏斗状で先端が5裂し内側の上部に濃色の斑点があります。花色は、赤紫、または、桃、白色で、花径3〜4 cm、雄蕊が5本あります。
ギフチョウがミツバツツジ(三葉躑躅)の蜜を吸いに来る
ギフチョウの成虫が蜜を吸いに来る花には、
ソメイヨシノ(染井吉野、学名:Cerasus ×yedoensis cv. yedoensis)などのサクラ(桜、学名:Cerasus L.、
ミツバツツジ(三葉躑躅、学名:Rhododendoron dilatatum)などのツツジ(躑躅、学名:Rhododendron)、
カタクリ(片栗、学名:Erythronium japonicum)、
スミレ(学名:Viola mandshuricaレ、
ショウジョウバカマ(猩々袴、学名:Heloniopsis orientalisなどがあります。
ギフチョウ(岐阜蝶、学名:Luehdorfia japonica)がミツバツツジ(三葉躑躅)の蜜を吸いに来ます。
ギフチョウ(岐阜蝶)、イラスト by 有紀@kagiken、2025年1月27日
万葉集
万葉集で謡われています。
第9巻 第1694首 作者:柿本人麻呂 題詞:鷺坂作歌一首
原文
細比礼乃 鷺坂山 白管自 吾尓尼保波尼 妹尓示
読
栲領巾(たくひれ)乃(の) 鷺坂山(さぎさかやま)の 白(しら)管自(つつじ) 吾(我れ)尓(に)尼保波(匂ほは)尼(に) 妹(いも)尓(に)示(示さむ)
↓
たくひれ(*1)の 鷺坂山(さぎさかやま *2)の 白躑躅(しろつつじ) 我れに匂ほはに 妹に示さむ
意味
白いスカーフのような羽を持つ鷺(白い鳥)、鷺と名が付く鷺坂山にある白ツツジ 穢れなき純白を私(の衣)に染め付けて (帰って)妻に見せたいから。
是ほど、白三連チャンを強調するのは何かやましいことがある(身が潔白でないと意識している)から?
*「たくひれ」とは、栲(こうぞ)の繊維で作った衿の白い飾り布のこと。白いスカーフのようなもの。女性の装束とされますが、古代は男女ともに着用していたらしい。
鷺(さぎ=白い鳥)にかかる枕詞。鷺の翅も真っ白。
「鷺坂山(さぎさかやま)」は、京都府城陽市久世にある丘と言われ、鷺と言う名を持ち真っ白イメージ。さらに白ツツジ登場。
ミツバツツジの基本データ
一般名:ミツバツツジ(三葉躑躅)、学名:Rhododendoron dilatatum、APG植物分類名:植物界被子植物真正双子葉類ツツジ目ツツジ科ツツジ属ミツバツツジ種、原産地:日本の関東から近畿の太平洋側、環境:雑木林、生活型:落葉広葉低木、樹高:100〜300 cm、葉形:菱形状広卵形、葉色:緑、葉序:3枚輪状、葉縁:全縁で多少波状、花径:3〜4 cm、花冠形:漏斗状で先端5裂、花色:赤紫・桃・白、開花期:3月中旬〜4月中旬、雄蕊数:5本、果実型:蒴果、用途:庭木、鉢植え。