カヤ
Torreya nucifera
万葉集でよまれた草木
- 花名カヤ
- 学名Torreya nucifera
- 別名ホンガヤ, 榧, 本榧, Kaya, Japanese torreya, Japanese nutmeg-yew
- 原産地日本、朝鮮半島
- 開花場所庭, 低山, 公園, 盆栽
- 開花期4月, 5月
- 花言葉「努力」
カヤとは
カヤ(学名:Torreya nucifera)は日本等原産でイチイ科の常緑針葉高木です。本州東北以南~九州の日本、朝鮮半島の温帯域の山地に自生しています。樹皮色は灰褐色で縦に裂け目が入っています。雌雄異株です。枝の両側には扁平の線状で鋭く堅い小葉が並列してつきます。春に雄花は長楕円形の黄花を、雌花は無柄で枝先に密集させて中央に1個の胚珠をつけます。花後に楕円形の種子が成り、秋に赤紫色に熟し、翌年秋に皮が裂けて淡褐色の堅い種子を落下させます。
果実はアクを抜けば食用となります。材質は淡黄色で緻密で碁盤や彫刻用材に用いられますが、生産量はとても少ない。万葉集名は「カヘ」です。
万葉集 巻19 4169番歌 (長歌)
万葉集 第19巻 4169番歌
作者:大伴家持
題詞:為家婦贈在京尊母所誂作歌
(妻が都にいる母に贈る歌を頼まれて作った歌)
時期:天平勝宝2年3月、詠われている植物:カヘ(柏:カヤ)
原文
霍公鳥 来喧五月尓 ・・・途中略・・・ 奈呉乃海部之 潜取云 真珠乃 見我保之御面 多太向 将見時麻泥波 松栢乃 佐賀延伊麻佐祢 尊安我吉美
訓読
霍公鳥(ホトトギス) 来喧(鳴く)五月(サツキ)尓(に)・・・途中略・・・
奈呉乃(の)海部(あま)之(の) 潜取(かずき採る)云(といふ) 真珠(白玉)乃(の) 見我(が)保(ほ)之(し)御面(みおもわ) 多太(ただ)向(かひ) 将見時(見む時)麻泥(まで)波(は) 松(まつ)栢(かへ=カシワ)乃(の) 佐賀延(栄)伊麻(今)佐祢(さね) 尊安(き)我(我が)吉美(君)
↓
ホトトギス 来喧(鳴く)五月に・・途中略・・・
奈呉のあまの 潜採るいふ 真珠(白玉)の 見がほし御面(みおもわ) ただ向かひ 見む時までは 松(まつ)栢(かへ=カシワ)の 栄え今さね 尊き我が君
訳
ホトトギスが来て鳴く5月に ・・途中略・・・
奈呉の海女が 潜って採るという 真珠のように 見たいお顔 直接お逢いする時までは 松や柏(カヤ)のように元気でいて下さいね、お母様。
一般名:カヤ(榧)、学名:Torreya nucifera(トリア)、別名:ホンガヤ(本榧)、Kaya、torreya、Japanese torreya、Japanese nutmeg-yew、分類名:植物界裸子植物マツ網マツ目イチイ科カヤ属カヤ種、生息分布:本州東北以南、四国、九州の日本、朝鮮半島、環境:温帯域の山地、生活型:常緑針葉高木、樹高:20〜25m、樹皮色:灰褐色で縦に裂け目、枝色:茶色、材質:淡黄色で緻密、雌雄異株、葉序:対生、葉形:扁平の線状で鋭く堅い、葉身長:2cm、葉幅:0.2cm、開花期:4月〜5月、雄花:楕円形の黄色い花、雄花長:1cm、雌花:枝先に密集し中央に1個の胚珠があり無柄、結実期:10月(赤紫色に熟し翌年秋に皮が裂けて淡褐色の堅い種子が落下する)、種子長:2〜3cm、種子径:1〜2cm、種子形:楕円形、用途:庭木、社寺林、木材−建築材、風呂桶、碁盤・将棋盤・連珠盤(最高級品)、仏像、彫刻用材、工芸品、果実はカヤノミで食用となる。