フユアオイ
万葉集でよまれた草木,源氏物語の草木
- 花名フユアオイ
- 学名Malva verticillata
- 別名アオイ, 冬葵, Chinese mallow, cluster mallow
- 原産地パキスタン~中国
- 開花場所野原・畦道, 庭
- 開花期4月, 5月, 6月, 7月, 8月, 9月
- 花言葉「気高く威厳に満ちた美」「高貴」
フユアオイとは
フユアオイ(冬葵、学名:Malva verticillata)とは、パキスタン~中国原産で、アオイ科ゼニアオイ属の大型の一~二年草の野草です。英名では、Chinese mallowや cluster mallowと呼ばれます。日本へは古代に渡来し薬用や野菜として栽培されました。現在はほとんど栽培されておらず一部野生化しています。中国や韓国では、葉と茎をお粥やスープなどの料理に、種子は冬葵子(とうきし)という生薬の原料に使われます。
草丈は60~170 cmで直立します。葉には葉柄があり、葉の形は掌状に5~7浅裂し、葉縁には鋸歯があり、互生して付きます。4月~6月に、葉腋に固まって花径1~2 cmの小さな五弁花が固まって咲きます。花色は、白、または、ピンク、赤で、3枚の細い萼片があります。花後に成る種子は冬葵子(とうきし)という生薬の原料となります。
変種のオカノリ(陸海苔、学名:Malva verticillata var. crispa)と似ていますが、小葉は冬葵(M. verticillata)より陸海苔(M. verticillata var. crispa)の方が丸みがあります。
名前の由来
属名の「Malva」はラテン語の「malache(軟らかくする)」を意味し、粘液に物質を軟化する働きがあることから。
種小名の「verticillata」はラテン語の「輪生」を意味し、葉が輪生することから。
「アオイ(葵)」という和名は、葉が太陽の方を向く向日性があることから、万葉時代には、「仰(あおぐ)日(ひ)」→「仰日(あおひ)」となり、その後
アオイとなったようです。
「フユアオイ(冬葵)」と言う和名は、常緑性で葉が冬でも枯れないことに拠ります。
フユアオイの花言葉
「気高く威厳に満ちた美」「高貴」
万葉集とあふひ(葵)
万葉集では、フユアオイ=あふひ(葵)という名前で詠まれています。
あふひ(葵)の歌には、花が全部で6種類出ていますので、他の花のページでも出てきます。
万葉集 第16巻 3834番歌
作者:作者不詳、題詞:作主未詳歌一首
おそらく、宴席で出されたお題に対して、作られた戯れの歌のようです。
原文
成棗 寸三二粟嗣 延田葛乃 後毛将相跡 葵花咲
読み
成(梨)棗(なつめ) 寸三(黍、君)二(に)粟(あわ、逢わ)嗣(次ぎ)
延(這う)田葛(くず)乃(の) 後(のち)毛(も)将相(会わん)跡(と) 葵(あふひ、逢う日)花咲
↓
梨(なし)、棗(なつめ)、黍(きび)に 粟(あわ)つぎ 這う田葛(くず)の 後も逢はむと 葵(あうひ、逢う日)花咲く
意味
1)植物名リレー
梨(なし)、棗(なつめ)、黍(きび)に粟(あわ)つぎ、這う葛(くず)の、のち(後)も逢わんと、葵(あうひ)花咲く
2)あなたに会いたい
(梨棗→離早、りそう=)離れてる (今は)君に逢えないが、伸び続ける(這う)葛(くず)のように、のち(後)(も)には逢おうと、葵の花が咲いている
この短歌で詠われている植物
・梨(ナシ、学名:Pyrus pyrifolia)、
・棗(なつめ、ナツメ、学名:Ziziphus jujuba)、
・黍(きび)、
・粟(あわ、アワ、学名:Setaria italica)、
・葛(くず、クズ、学名:Pueraria montana var. lobata))、
・冬葵(フユアオイ、学名:Malva verticillata)、学名:Malva verticillata)、
一般名:フユアオイ(冬葵)、学名:Malva verticillata、英名:Chinese mallow, cluster mallow、分類名:植物界被子植物門双子葉植物綱アオイ目アオイ科ゼニアオイ属フユアオイ種、原産地:中国 、生活型:一~二年草、草丈:60~170 cm、葉形:掌状で5~7浅裂、葉縁:鋸歯、葉序:互生、花序形:単項花序、花色:白又は、ピンク、赤 、開花期:4月~9月、花径:1~2 cm、花弁数:5枚、雄蕊数:13本以上、結実期:8月~10月、用途:観賞用植物、中国では葉は茹でて野菜、種は生薬「冬葵子(とうきし)」、注記:虫媒花。