万182.白い乳液が出るのでチチ 犬枇杷 ポスト イチョウの花日記ところでも、万葉名で「チチ」という植物が登場しました。実際問題として万葉名の「チチ」とは、イチョウなのか、イヌビワなのか、はたまたほかの植物なのか、定かではありません。なにしろ、今から1300年以上前のことですから。ここでは、チチをイヌビワとして扱います。 イヌビワ(学名:Ficus erecta 又は Ficus erecta var. erecta)は、日本と済州島(韓国)原産で、クワ科イチジク属の落葉広葉低木です。イヌビワは、別名で「イタビ」とも呼ばれます。日本では、関東以南から四国、九州、琉球半島の山地に自生します。樹高は3~5 mです。イチジク属なので、樹皮に傷をつけると乳白色の樹液が出ます。葉は薄く、葉柄があり、緑色で、楕円形をしています。葉長さは8~20cm、葉幅は4~8cm、葉縁は全縁で枝に互生して付きます。 雌雄異株です。4~5月に開花し、花は葉腋から出ますが、花嚢という隠頭花序で外には現れません。花嚢の径は1cmほどです。雄花の小さな穴からイヌビワコバチが入り込み卵を産み付けます。成長したイヌビワコバチは穴から出て他の雄花か雌花に入り置観ます。雄花の場合は卵を産みます。雌花に入ったイヌビワコバチは抜け出せなくなり体に付けた花粉を雌蕊に付ける役割をします。 9月~11月に花嚢が果嚢へと変わります。果嚢(果実)は直径1~1.3cmの球形で、赤色→濃紫色に熟したら食べ頃です。味は甘みがあります。用途としては、樹木は公園樹や庭園樹に、果実は食用や薬用に、白い樹液は薬用となります。 万葉集とイヌビワ 万葉集20巻 4408番歌 作者:不詳(大伴家持が集めた防人の歌の一つ) 題詞:天平勝宝7年2月23日、兵部少輔(ひょうぶのしょうふ)大伴宿祢家持(天平勝寳七歳乙未二月相替遣筑紫諸國防人等歌)陳防人悲別之情歌一首[并短歌] 登場する草木:知々(チチ)=イヌビワかイチョウ、ここではイヌビワとします。白い粘液「ちち(万葉名)」が出ることから。 原文 大王乃 麻氣乃麻尓々々 嶋守尓 和我多知久礼婆 波々蘇婆能 波々能美許等波 美母乃須蘇 都美安氣可伎奈O 知々能未乃 知々能美許等波 多久頭努能 之良比氣乃宇倍由 奈美太多利 奈氣伎乃多婆久 可胡自母乃 多太比等里之C 安佐刀O乃 可奈之伎吾子 安良多麻乃 等之能乎奈我久 安比美受波 非之久安流倍之 今日太尓母 許等騰比勢武 読み 大君(おおきみ)の 任(ま)けのまにまに 島守(しまもり)に 我(わ)が立ち来(く)れば ははそ葉(ば)の 母の命(みこと)は 御(み)裳(も)の裾(すそ) 捻(つ)み上げ掻(か)き撫で ちちの実(み)の 父の命(みこと)は たくづのの 白(しら)ひげの上ゆ 涙垂(た)り 嘆きのたばく 鹿子(かこ)じもの ただひとりして 朝戸出(あさとで)の かなしき我(あ)が子 あらたまの 年の緒(お)長く 相(あい)見ずは 恋しくあるべし 今日だにも 言問(ことど)ひせむ 意味 大君(天皇)の ご任命のままに 防人として 家を出立したとき ははそ葉の 母上は着物の裾をつまんで私の頭をかき撫でられた ちちの実の 父上は 栲綱(たくづの)のような 白髭の上に 涙を流されて嘆いて言われた 「鹿の子のように たったひとりで 朝、旅立つ 愛しい我が子 長い年月 逢えなくなるのは 恋しいことだろう 今日だけでも 語り合おうではないか。 花言葉や詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。 ■関連ページ 万182.白い乳液が出るのでチチ 犬枇杷 万葉集 かぎけん花図鑑 花日記2023年12月30日(土) 、 イヌビワ(学名:Ficus erecta 又は Ficus erecta var. erecta)、 特集 万葉集でよまれた草木 、 万181.どんぐりが成る木 水楢 万葉集 かぎけん花図鑑 花日記2023年12月29日(金) 、 特集 万葉集でよまれた草木 、 #万葉集 #草木 #イヌビワ #樹木 #花図鑑 #花 #flowers #かぎけん花図鑑 #かぎけん花日記 Other Articlesゴールデン・カップのブログ熱帯地域に咲くその名も輝かしい「ゴールデン・カップ」。 花名そのまんまの、黄金で杯状の大きな花を咲かせます。 と言っても最初から、黄金色ではなく、白、薄黄と咲き進んで、黄金色に変色し、数日で褐色となって枯れますが、別の花が、冬から春まで次々と咲きます。 成長の早い蔓性植物で、木など、他の植物に絡み付きながら大きくなります。 日本では、12月に、沖縄の熱帯ドリームセンターの屋外で酢醤蒜で鯛食べたい?万葉集草木シリーズ28.ノビルノビル(野蒜、学名:Allium macrostemon)は、東アジア原産で、ヒガンバナ科ネギ属の多年生草本です。地下に出来る鱗茎(球根)を食べます。 万葉集で詠われています。 宴席で出席者がそれぞれ出した「酢、醤、蒜、鯛、水葱」というお題を詠んだうた 「万葉集の巻と作者」 第16巻 3829番歌 題詞:詠酢醤蒜鯛水葱歌 作者:長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ) 【原文】 醤酢尓 蒜都伎合而万183.今日は大晦日で 忘れ草(万葉集シリーズ 最終回)今年最後のかぎけん花日記となりました。本年も大変お世話になりました。また、この「万葉集シリーズ」も、本日の 183話 を持ちまして、一旦終了いたします。長らくのご愛読ありがとうございました。明日、元旦からは新シリーズを開始しますので、どうぞ引き続きご愛読をお願いいたします。 忘れ草という花名で「忘れな草」を思った方、ごめんなさい。万葉集では、忘れ草とは、ヤブカンゾウ またはノカンゾウのことなんで赤地か白地か、椿 玉孔雀(Tama peacock)赤地に白覆輪・八重・蓮華咲きの大輪椿 椿 玉孔雀(ツバキ タマピーコック、Tama peacock、学名:Camellia japonica "Tama peacock" )とは、赤地に白覆輪が入る大輪、八重蓮華咲きのアメリカの園芸品種です。 2000年にアメリカで、'玉の浦'を交配して作出されました。 樹高は2ー4mです。 冬から初春に開花します。 ■関連ページ 椿 玉孔雀(ツバキ タマピイヌゴマ(犬胡麻)と似た花イヌゴマ(犬胡麻、学名:Stachys aspera var. hispidula)とは、直立した茎の先端から花序を伸ばし、夏に美しい桃色の小花を沢山咲かせるシソ科イヌゴマ属の多年草です。 イヌゴマについては本文を見て頂くとして、ここでは、イヌゴマ(犬胡麻)と何らかの縁がある植物をご紹介します。 1)ゴマ ゴマ(胡麻、学名:Sesamum indicum)はイヌゴマ(犬胡麻)と似ていますが、ゴ世界の国花シリーズ AD アンドラ公国世界の国花シリーズ AD アンドラ公国 かぎけん花図鑑花日記2022年5月31日 アンドラ公国 の国花は、「エーデルワイス」です。 アンドラ公国とは、ピレネー山脈(フランスとスペインの国境)の中腹に位置する小さな共和国 でエーデルワイス(Edelweiss、学名:Leontopodium nivale)の自生地です。 エーデルワイス(Edelweiss)は、スイスアルプスなどの高山に自生する