ハルニレ

Ulmus davidiana var. japonica

季節,万葉集の草木

  • ハルニレ
  • ハルニレ
  • 花名
    ハルニレ
  • 学名
    Ulmus davidiana var. japonica
  • 別名春楡, Ulmus davidiana var. japonica, ニレ, エルム, Japanese Elm, アカダモ, モムニレ
  • 原産地日本
  • 開花場所植物園, 北海道
  • 開花期3月, 4月, 5月
  • 花言葉「信頼」と「尊厳」

ハルニレとは

ハルニレ(春楡、学名:Ulmus davidiana var. japonica)は、日本原産でニレ科ニレ属の落葉広葉高木です。又名で、ニレ、エルム、アカダモ、Japanese Elmとも呼ばれます。日本には、ハルニレと、アキニレ、オヒョウの3種がありますが、通常、ニレと言えば、このハルニレを指します。北海道~九州に自生しますが、北海道などの東日本に多いです。北海道大学の札幌キャンパスにはハルニレの樹林があり「エルムの杜」と呼ばれています。またアイヌ神話では、ハルニレは天地創造のときに最初に地上に現れた精霊とされています。
樹皮は灰褐色で縦に深裂します。樹皮を剥ぐと出る粘々した液は粘着剤に使われます。大きな葉は下半分は左右非対称です。雌雄同株です。花は花弁が無く、雄蕊と雌蕊を持つ黄緑色の両性花です。樹高が30mにもなるので、家庭の庭ではなく公園樹、街路樹にされます。

ニレノキは世界4大並木樹の一つ


葉が大きく木陰を作るのでは以下の4つが世界4大並木樹とされます。

プラタナス(Platanus、学名:Platanus)
トチノキ(栃の木、学名:Aesculus turbinata)
ニレ(楡、学名:Ulmus davidiana var. japonica)
シナノキ(科の木、学名:Tilia japonica)


万葉集第16巻 3886番歌


作者:作者不詳(乞食者)、題詞:乞食者詠一長歌
万葉名:もむにれ(登場植物名:楡、ハルニレ)


原文


忍照八 難波乃小江尓 廬作 
難麻理弖居 葦河尓乎 王召跡 何為牟尓 吾乎召良米夜 明久 
吾知事乎 歌人跡
和乎召良米夜 笛吹跡
和乎召良米夜 琴引跡
和乎召良米夜 彼此毛命受牟跡
今日々々跡
飛鳥尓到 雖置々勿 尓到雖不策
都久怒尓到 東 中門由 参納来弖
命受例婆
馬尓己曽 布毛太志可久物
牛尓己曽 鼻縄波久例 足引乃 此片山乃
毛武尓礼乎 五百枝波伎垂
天光夜 日乃異尓干 佐比豆留夜 辛碓尓舂 庭立 <手>碓子尓舂 忍光八
難波乃小江乃 始垂乎 辛久垂来弖 陶人乃 所作龜乎
今日徃 明日取持来 吾目良尓 塩と給セ賞毛セ賞毛


読み


忍(おし)照(てる)八(や) 難波(なには)乃(の)小江(をえ)尓(に) 廬(いほ)作(つくり) 
難麻理(なまり、隠り)弖(て)居(をる) 葦河尓(あしがに、葦蟹)乎(を)
王(おほきみ)召(めす)跡(と) 何(な)為(に)牟(せむ)尓(に)
吾(わ)乎(を)召(めす)良(ら)米(め)夜(や) 明(あきらけ)久(く)
吾(わ)乎(を)知(しる)事(こと)乎(を) 歌人(うたひと)跡(と) 
和(わ)乎(を)召(めす)良(ら)米(め)夜(や) 笛吹(ふえふき)跡(と) 
和(わ)乎(を)召(めす)良(ら)米(め)夜(や) 琴引(ことひき)(と)
和(わ)乎(を)召(めす)良(ら)米(め)夜(や) 彼(かも)此(かく)毛(も)
命(みこと)受(うけ)牟(む)跡(と)今日(けふ)々々(けふ)跡(と) 
飛鳥(あすか)尓(に)到(いたり) 
置(おく)雖(とも) 々(おく)勿(な)尓(に)到(いたり) 雖(つか)不策 (ねども)
都久(つく)怒(の、野)尓(に)到(いたり) 東(ひむがしの) 
中門(なかのみかど)由(ゆ) 参納(まゐり)来(き)弖(て)
命(みこと)受(うく)例(れ)婆(ば)
馬(うま)尓(に)己(こ)曽(そ) 布毛太志可久物(ふもだしかくもの)
牛(うし)尓(に)己(こ)曽(そ) 鼻縄(はなづな)波久例(はくれ) 
足引(あしひき)乃(の) 此片山(このかたやま)乃(の)
毛武(もむ)尓礼(にれ)乎(を) 
五百枝(いほえ)波伎垂(はきたり) 天(あま)光(てる)夜(や) 
日(ひ)乃(の)異(け)尓(に)干(ほし) 佐比(さひ)豆留(づる)夜(や) 
辛碓(からうす、韓臼)尓(に)舂(つき) 庭(にはに)立(たつ)
手碓子(てうす、手臼)尓(に)舂(つき) 忍(おし)光(てる)八(や)
難波(なには)乃(の)小江(をえ)乃(の) 始垂(はつたり)乎(を)
辛久垂(からくたり)来(き)弖(て) 陶人(すゑひと)乃(の) 
所作(つくれる)龜(かめ)乎(を) 今日(けふ)徃(ゆきて)
明日(あす)取持(とりもち)来(き) 吾(わが)目(め)良(ら)尓(に) 
塩(しほ)と(ぬり)給(たまひ) 
セ(きたひ)賞(はやす)毛(も) セ(きたひ)賞(はやす)毛(も)

おしてるや 難波の小江(をえ)に 廬(いほ)作り 隠りて居る 葦蟹を
大君召すと 何せむに 
我を召すらめや 明(あきら)けく
我を知ることを 歌人と
我を召すらめや 笛吹きと
我を召すらめや 琴弾きと
我を召すらめや かもかくも 
命(みこと)受けむと 今日今日と 
飛鳥に至り 置くとも 置勿に至り つかねども 
都久野に至り 東の 中の御門ゆ 参入り来て 
命(みこと)受くれば
馬にこそ ふもだしかくもの
牛にこそ 鼻縄はくれ
あしひきの この片山の  もむ楡
五百枝剥き垂り 天照るや
日の異(け)に干し さひづる(囀る)や
韓臼に搗(つ)き 庭に立つ 
手臼に搗(つ)き おしてるや
難波の小江の 初垂(はった)りを 
からく垂り来て 
陶人(すゑひと)の 作れる瓶(かめ)を
今日行きて 明日取り持ち来 
我が目らに 塩塗りたまひ 
きたひはやすも きたひはやすも


意味


ワイは難波の小江に住処を作り 隠れ住んでる葦蟹(あしがに)や
大君がワイを召すという。何でワイなの。
明らかなことは、歌人とワイを、笛吹き人とワイを、琴弾き人とワイを、
一緒に所望なさったらしい。
お召しをお受けしようと、今日の今日 飛鳥に至り、置くとも置きなに至り、
つかないとの 都久野に至り、東の中の御門より参内し 用命をお受けたんやが、
ワイが馬なら手綱、牛なら鼻輪で、
片山のニレの木に繋ぎ止めるんやけど、
ワイは蟹ゆえに 幾日も日に干し、カラカラに囀ると
韓臼で搗(つ)き、庭に立、手臼で搗(つ)くのやなぁ。
で、難波の小江の濃く辛い初塩(初垂)を 陶職人の作る瓶(かめ)に垂らし込む。
その瓶を早急に取り寄せて ワイの目に塗り込める。そして、干物にさらし、干物にさらすんでございますよ 。

一般名:ハルニレ(春楡)、学名:Ulmus davidiana var. japonica、又名:ニレ、エルム、アカダモ、Japanese Elm、原産地:日本、分類名:植物界被子植物真正双子葉類イラクサ目ニレ科ニレ属ハルニレ種、生活型:落葉広葉高木、樹高:15~30m、樹径:1m、樹皮色:灰褐色で縦に深裂、葉長:3~12cm、葉幅:3~5 cm、葉序:互生、葉形:倒卵形~楕円形、葉縁:2重鋸歯、雄蕊数:4、葯色:赤褐色、雌蕊:花柱2列し白毛有、開花期:3~5月、花色:黄緑色の蕊、果実期:5~6月、果実径:1.5 cm、果実型:扁平な団扇形、用途:公園樹、街路樹、盆栽、建具、楽器材、炭。


  • イラクサ
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    その他
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    その他
  • 花冠
    花びら無し
  • 葉形
    倒卵形
  • 葉縁
    鋸歯状
  • 生活型落葉広葉高木
  • 花の色
  • 葉の色
  • 実の色
  • 高さ1500.0 ~ 3000.0 cm
  • 花径0.0 ~ 0.0 cm

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