キビ

Panicum miliaceum

花名
キビ
学名
Panicum miliaceum
別名黍, もちきび, 稲きび, もちキビ, もち黍, きび, Proso millet
原産地中国など、東アジアから中央アジアの温帯地域
開花場所畑
開花期8月, 9月
花言葉無

キビとは

キビ（黍、学名：Panicum miliaceum）は、中国など、東アジアから中央アジアの温帯地域原産で、イネ科キビ属の一年生草本で五穀の一つとされます。ちなみに、五穀とは五種類の主要な穀物を意味しますが、国によっても異なりますし、日本でも昔と今では異なります。現代では、主に、イネ（稲・米、学名：Oryza sativa ）、ムギ（小麦や大麦）、アワ（粟、学名：Setaria italica）、マメインゲンやなどマメ科の総称）、キビ（黍、学名：Panicum miliaceum）、またはヒエ（稗、学名：Echinochloa esculenta）が含まれます。日本へは中国大陸からイネやアワ、ヒエより遅れて渡来しましたが弥生時代には栽培されていたとされます。生育期間が短く乾燥に強いので世界的に分布しています。

草丈は150～200 cmです。60cmの穂（円錐花序）は、緑色から薄茶、茶色に変化し、穂の1/3～1/2が茶色になったら収穫時期を迎え、長さ0.1～0.6cm、幅0.1～0.2cmの種子を多数付けています。種子は小さく食用とするとモチモチした、黄色い小粒のもち米のような存在です。アミロースを全くあるいはほとんど含まない品種です日本ではおはぎや餅に使われますが、海外では鳥餌やワインの材料とされます。

キビには2種ある

胚乳の型（Kernel: type of endosperm）により、もち性（糯性黍、ワキシーwaxy）、うるち性（粳性黍、ジャポニカ、non-waxy）に分けられますが、学名は同じです。

植え時

5月～8月に播種して約100日で収穫できます。例えば５月下旬に播種すると、９月中・下旬頃に収穫できます。

栄養価

穀物中一番低カロリーで、白米よりたんぱく質を多く含み、カリウムが2倍、食物繊維・鉄分が3倍、マグネシウムが4倍、カルシウムが12倍含まれます、種子は黄色いでカテキン類のポリフェノールが含まれ強い抗酸化力があります。

万葉集とキビ

万葉集でキビを詠った歌は１首だけなので、これまで他の草木で出てきた歌となります。この歌は、作者、題詞共に不明ですが、おそらく宴席で出されたお題に対して作られた戯れ歌の類と思われます。切羽詰まって作業をしている実には、１首で何種類もの草木に使い廻わせる歌はとてもありがたい存在です。

万葉集第16巻 3834番歌
作者：作者不詳
題詞：作主未詳歌一首

原文
成棗　寸三二　粟嗣　延田葛乃　後毛将相跡　葵花咲

読み
成（梨）棗（なつめ）　寸三（黍、君）二（に）粟（あわ、逢わ）嗣（次ぎ）　延（這う）田葛（くず）乃（の）　
後（のち）毛（も）将相（会わん）跡（と）　葵（あふひ、逢う日）花咲
↓
梨（なし）、棗（なつめ）　黍（きび）に粟（あわ）次ぎ　這う田葛（くず）の　
後も逢はむと　葵（あうひ、逢う日）花咲く

意味
１）植物名リレー
梨（なし）、棗（なつめ）　黍（きび）に粟（あわ）次ぎ　這う葛（くず）の　のち（後）も逢わんと　葵（あうひ）花咲く

２）あなたに会いたい
離れてる（梨棗→離早、りそう）　君に逢えず　這う葛（くず）の　のち（後）も逢おうと　葵花咲く

一般名：キビ（きび）、学名：Panicum miliaceum、又名：Proso millet、分類名：植物界被単子葉類イネ目イネ科キビ属キビ種、草丈：150～200 cm、茎：円筒形で空洞、花序形：円錐花序、花色：茶色、葉形：披針形、花序高：60 cm、花色：茶色、開花期：発芽から80～90日なので5月に撒くと9月頃開花、種子：粒はアワやヒエよりやや大きい、種子色：黄色・白色・褐色、播種：5月～8月、栽培日数：100日～110日、性質：乾燥地や荒地に強く生育期間が短い、用途：おはぎ、餅、黄酒（ホワンチウ）、ブタの飼料（hog mille）。