ニワトコ
万葉集でよまれた草木, 季節-春
- 花名ニワトコ
- 学名Sambucus sieboldiana var. pinnatisecta
- 別名Japanese red elder, niwatoko, 接骨木, 庭常, ヤマタヅ
- 原産地日本、朝鮮半島、中国
- 開花場所庭, 低山
- 開花期4月, 5月
- 花言葉思いやり、 苦しみを癒す人
ニワトコとは
ニワトコ(庭常、接骨木、学名:Sambucus sieboldiana var. pinnatisecta)は、日本、朝鮮半島、中国原産で、レンプクソウ科ニワトコ属の落葉低木です。北海道~九州の山野に自生します。木全体が有用な成分を持っているので昔から庭に植えられています。春に円錐花序を伸ばし白い小さな花を咲かせ、夏に赤い小さな果実を実らせます。
使用部位は、若葉や蕾は食用に、材は杖や細工物に、果実は果実酒に、乾燥させた枝葉は生薬に、樹皮や木部は入浴剤に、髄は実験の標本用に、魔除けにされます。
万葉集 第2巻 90番歌
作者:磐姫皇后(軽太郎女)、万葉呼名:山たづ=ニワトコ
題詞
古事記曰 軽太子奸軽太郎女 故其太子流於伊豫湯也 此時衣通王 不堪戀慕而追徃時歌曰
題詞のよみ
古事記に曰く 軽太子(かるのひつぎのみこ)軽太郎女(かるのおほいらつめ)に奸(たは)く 故其(その故に)太子(を)流(す)於伊豫湯也(伊豫の湯)なり
此時(この時)衣通王(そとほりのおほきみ=軽太郎女) 不堪戀慕(しのひにあへず)而(して) 追(ひ)徃(ゆく)時(時に) 歌曰(歌ひて曰く)
題詞の意味
悲恋物語 古事記の時代は異母兄妹や姉弟の恋愛・結婚は許されていましたが、同父母兄妹の恋愛は禁忌でした。この太子とは天皇の後嗣、いわゆる次期天皇の第一候補でしたが、禁忌を破ったことにより、廃太子となり伊豫の湯(道後温泉)へ流罪となりました。この歌を歌っている軽太郎女(妹)は太子(兄)を追って行きますが、結末は、心中に至るという悲しいお話です。詳しくは古事記をご覧ください。
万葉集の原文
君之行 氣長久成奴 山多豆乃 迎乎将徃 待尓者不待
万葉集のよみ
君が行き(君之行) 氣長久成奴(日長くなりぬ) 山多豆(山たづ)乃(の)
迎乎(迎へを)将徃(行かむ) 待(待つ)尓(に)者(は)不待(待たじ)
↓
きみが行き 日(け)ながくなりぬ やまたづの 迎えを行かむ 待には待たじ
万葉集の意味
あなたが行ってしまってから 日数が経ちました 迎えに行きます 待ってなんかいられません。
「やまたづの」は「迎え」の枕詞。山たづ=ニワトコの葉が対生(むかい合わせにつく)することから。
第2巻 90番歌の左注に、みつながしわ(かくれみの)があります。
一般名:ニワトコ(庭常)、学名:Sambucus sieboldiana var. pinnatisecta、分類名植物界被子植物真正双子葉類マツムシソウ目ニワトコ属ニワトコ種、又名:Japanese red elder、山タヅ、樹高:3-5 m、葉序:対生、葉形:奇数羽状複葉、葉長:10-30 cm、葉縁:鋸歯、開花期:4-5月、花序形:円錐花序、花色:白、花冠径:0.3-0.5 cm、雄蕊数:5、子房:3、果実型:核果、果実期:6-8月、果実色:赤、果実形:卵球形、果実型:核果、果実長:0.3〜0. 5 cm。