万160.たはみずらって何? 実栗(案)

ミクリ(実栗、学名:Sparganium erectum)とは、ガマ科ミクリ属の抽水性(水上に茎葉を出す)多年草です。河川や農水路などの水深の浅い場所に自生します。水底に根を張り這いながら分枝し新しい株を作って水上に茎葉の一部を出します。草丈は70~200cmです。茎は直立し無毛です。葉は幅1cm程の長い線形です。雌雄同株、雌雄異花です。6月~8月に葉腋から花茎を出してその先端から頭状花序を伸ばします。花序の上部には黄色い雄花を咲かせ、下部には白い雌花を咲かせます。開花は雌花の方が先で、その後に雄花を咲かせます。雌花の花の下には葉のような長い苞が1枚ずつあります。雌花が咲き終わると径2~3cmのイガイガした緑色の果実が成り、初秋に黄褐色に熟します。その後、地上部は枯れます。用途は、観賞用水草や、漢方薬(腹痛緩和)「荊山稜(けいさんりょう)」の原料となります。現在は絶滅危惧種となっています。昔からある植物で、ひょっとしたら、多波美豆良(たはみずら)という水草ではないかとされます。


万葉集の「多波美豆良(たはみずら)とは?


万葉集には「多波美豆良」の歌は1首のみで、その候補には、このミクリの他に、
ヒルムシロ(蛭蓆、学名:Potamogeton distinctus)
や、スベリヒユ、コナギ(小菜葱、学名:Monochoria vaginalis var. plantaginea)ジュンサイ(蓴菜、学名:Brasenia schreberi)などがあげられます。以前に、ヒルムシロの紹介その歌をご紹介しましたが、ミクリのページを作成したのでここでもこの歌をご紹介します。ミクリと言う水生植物を現代に生きる私たちはどれほど知っているでしょう。


ヒルムシロ(蛭蓆
ワイじゃダメでっしゃろっか?ーたはみずらの第一候補のヒルムシロ


万葉集とミクリ(実栗)


万葉集 第14巻 3501番歌
作者:不詳
登場する草木:多波美豆良(たはみずら)=ここでは、ミクリ(実栗)


原文


安波乎呂能 乎呂田尓於波流 多波美豆良 比可婆奴流奴留 安乎許等奈多延



安波(あは)乎呂(をろ)能(の) 乎呂田(をろた)尓(に)於波流(おはる) 多波美豆良(たはみづら) 比可婆(ひかば)奴流奴留(ぬるぬる) 安乎(あを)許等奈(ことな)多延(たえ)

安波峰ろの 峰ろ田(をろた)に生はる たはみづら 引かばぬるぬる 我(あ)を言(こと)な絶え


意味


安波(あは)の峰の 山田に生える たはみずら(ミクリ) 引けばするする寄って来る 私への手紙を絶やさないで欲しい。

花言葉や詳しい情報は、こちらをご覧下さい。

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