ショウブ
源氏物語の草木
- 花名ショウブ
- 学名Acorus calamus
- 別名菖蒲, 葉菖蒲, ハショウブ, 匂い菖蒲, アヤメグサ, Ayamegusa
- 原産地ユーラシア大陸~北米大陸
- 開花場所切り花・生け花, 川・池, 田んぼ
- 開花期5月, 6月, 7月
- 花言葉「嬉しい知らせ」「優しい心」「優雅」「心意気」
ショウブとは
ショウブ(菖蒲、学名:Acorus calamus)とは、ユーラシア大陸から北米大陸原産で、ショウブ科ショウブ属の抽水性多年草です。
ハショウブ(葉菖蒲)、香り菖蒲、におい菖蒲とも呼ばれます。現在ではあまり呼ばれなくなりましたが、古くは、アヤメグサ(アヤメ草、Ayamegusa)や、アヤメと呼ばれました。中国名は白菖(ハクショウ)、英名ではcalamus、sweet flagと呼ばれます。日本全国の池や沼に分布し泥中に根茎を伸ばします。サトイモ科の植物とは異なり、芋は作りません。
葉は剣状線形で緑、葉は2列し互生します。葉の間から肉垂花序を出しますが、苞が葉に似ていえうので葉中央から花序が出ているように見えます。
花は棒状で地味ですが植物全体に芳香のある精油成分が含まれます。
葉形が剣状で芳香が爽やかなことが魔を祓うとされ、中国では男子にとって縁起が良い植物とされ無病息災を願う年中行事に利用されました。その習慣が、日本の奈良時代に取り入れられ、現在でも5月5日の「端午の節句」で根茎や葉を湯に入れた「しょうぶ湯」や、軒に吊るして魔除けとする習慣が残っています。
この菖蒲(A. calamus)は、綺麗な花を咲かせるアヤメ科アヤメ属の「花菖蒲(Iris、学名:Iris ensata)」とは科属が異なる全くの別植物です。
万葉集と菖蒲
万葉集 第18巻 4035番歌
作者:田辺福麻呂(たなべのふくまろ)
時期:天平20年3月23日
原文
保等登藝須 伊等布伎奈之 安夜賣具左 加豆良尓勢武日 許由奈伎和多礼
読み
保等登藝(須霍公鳥、ほととぎす) 伊等布(厭う)登伎(時)奈之(なし) 安夜賣具左(菖蒲草) 加豆良(かづら)尓(に)勢武(せむ)日 許由(こゆ)奈伎(鳴き)和多礼(渡れ)
↓
霍公鳥(ほととぎす) 厭うう時なし 菖蒲草(あやめぐさ) かづらにせむ日 来ゆ(こゆ)鳴き渡れ
意味
霍公鳥(ほととぎす)さん 嫌な時は無いから 菖蒲(あやめぐさ)を かづらにする(髪を飾る)日に 来て鳴き渡ってくださいよ。
一般名:ショウブ(菖蒲)、学名:Acorus calamus、呼名:アヤメグサ(アヤメ草、Ayamegusa)、アヤメ(現在ではあまり用いられなくなった)、白菖(ハクショウ)、葉菖蒲、香り菖蒲、におい菖蒲、calamus、sweet flag、原産地:ユーラシア大陸から北米大陸、生息分布:日本全国の池や沼、分類名:植物界被子植物単子葉類ショウブ目ショウブ科ショウブ属ショウブ種、生活型:抽水性、草高:50~120cm、草全体:芳香あり、葉長さ:50~120cm、葉幅:1~2.5cm、葉形:剣状線形、葉色:緑、葉序:2列互生、花序長:4~8cm、花序径:0.6~1cm、花序形:円柱形、花序形:肉垂花序、苞長さ:20~40cm、苞幅:0.5~0.8cm、花被片(小花)色:薄黄緑色、花被片(小花)径:0.5cm、花被片数:6個、開花期:5~7月、果実色:赤、果実型:液果、果実形:長楕円形、用途:切り花、公園、水田緑化、薬草、漢方薬。
ショウブと付く花
花名にショウブと付く花には、以下のようなアヤメ科アヤメ属の「Iris」が有名です。
ハナショウブ(花菖蒲)種類一覧、アヤメ(文目、綾目、学名:Iris sanguinea)、カキツバタ(杜若、学名:Iris lavigata)、イチハツ(一初、学名:Iris tectorum)、ノハナショウブ(野花菖蒲、学名:Iris ensata var. spontanea)、ドイツアヤメ(ジャーマン・アイリス、German iris、学名:Iris germania))、ダッチ・アイリス(学名:Iris × hollandica )、ヒオウギ(檜扇、学名:Iris domestica)、ブラックアイリス(Black Iris、学名:Iris nigricans)、キショウブ(黄菖蒲、学名: Iris pseudacorus)などがあります。