タチバナ
Citrus tachibana
らんまん植物
- 花名タチバナ
- 学名Citrus tachibana
- 別名Citrus tachibana, 橘, tachibana, ヤマトタチバナ, ニッポンタチバナ
- 原産地日本固有種
- 開花場所庭, 切り花・生け花, 植物園, 墓地・寺院, 鉢花
- 開花期5月, 6月
- 花言葉「追憶」
タチバナとは
タチバナ(橘、学名:Citrus tachibana)は日本固有種で、ミカン科ミカン属の常緑広葉低木であり古代ミカンの総称名としても使われます。古事記や日本書紀、万葉集に登場し古来は神聖な木として愛でられていました。しかし、現代では静岡県沼寿市以南の海岸沿いの山地に稀に自生するにとどまります。
野生のミカンで、幹は褐色で、緑色の若枝には棘があります。葉は皮質で硬く光沢があり、傷つけると爽やかな香りがあります。
晩春から初夏に、葉腋から小さな白い五弁花を咲かせます。秋~初冬に、黄色い小さな果実を成らせますが、酸っぱいので生食にはしません。用途は、庭植、鉢植え、切花、果実酒、ジャム、調味料、葉や花を文様や家紋のデザインとされます。
雛飾り
京都御所の紫宸殿には、「左近の桜」、「右近の橘」が植えられています。これは、紫宸殿から見て、左側に桜、右側に桜の木を植えたことに拠ります。雛祭の雛飾りも御所の紫宸殿を手本にして、祭壇には「左近の桜」、「右近の橘(柑子)」が置かれます。
右がお内裏様(男子)、左がお雛様(女子)が座るので、それに相応しい木を置いたのでしょう。
万葉集とタチバナ
万葉集でよまれた草木の中には、橘(たちばな)を詠った歌は68首あります。
万葉集 第6巻 第1009番歌
作者:聖武天皇(しょうむてんのう)
題詞:冬十一月左大辨葛城王等賜姓橘氏之時御製歌一首
天平8年11月(西暦736年12年)、左大辨 葛城王らに橘氏の姓を賜った時に聖武天皇が詠まれた歌一首
登場する草木:橘(たちばな)
原文
橘者 實左倍花左倍 其葉左倍 枝尓霜雖降 益常葉之樹
よみ
橘(たちばな)者(は) 實左倍(実さへ)左倍(花さへ) 其葉左倍(その葉さへ) 枝(え)尓(に)霜(しも)雖降(降れど) 益(いや)常葉(とこは)之(の)樹(木)
↓
橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝(え)に霜(しも)降れど いや常葉(とこは)の木
意味
橘(たちばな)は、実や花やその葉までも優れていますが 枝に霜(しも)が降っても 益々栄える常葉の木ですね。
臣籍降下した葛城王らに「橘氏」という氏姓を与えた時に聖武天皇が詠んだ歌で、もの凄いヨイショを感じますね。
天皇もヨイショするの?万葉集草木シリーズ47.タチバナ かぎけん花図鑑 花日記2023年2月3日
特集 万葉集でよまれた草木
名前が似た木「ヤブコウジ」
ジュウリョウ(十両)=ヤブコウジ(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)は別名で「ヤマタチバナ」と呼ばれます。万葉集の時代からあり、現在と同様、橘(たちばな)と呼ばれています。
一般名:タチバナ(橘)、学名:Citrus tachibana、又名:ニッポンタチバナ、ハヤタチバナ、ヤマトタチバナ、タチボ、分類名:植物界被子植物真正双子葉類ムクロジ目ミカン科ミカン属、樹高:2~4 m、樹皮:褐色、枝色:緑色、葉質:皮質、固く、光沢有り、葉色:濃緑色、葉長:3~6 cm、葉形:楕円形~長卵形、葉序:互生、葉縁:全縁、花径:2 cm、花色:白、花冠形:五弁花、開花期:5~6月、果実径:3 cm、果皮質:滑らか、果皮色:黄色、果実型:偏球形、果実期:11~12月、用途:庭植、鉢植え、切り花、果実酒、ジャム、調味料、デザイン(家紋や文様)。