カクレミノ
万葉の草木
- 花名カクレミノ
- 学名Dendropanax trifidus
- 別名隠蓑, kakuremino, Dendropanax, テングノウチワ, ミツデ, みつながしは
- 原産地日本
- 開花場所庭, 墓地・寺院, 公園, 鉢花
- 開花期6月, 7月, 8月
- 花言葉「耐え忍ぶ」
カクレミノとは
カクレミノ(隠蓑、学名:Dendropanax trifidus)とは、日本原産で、ウコギ科カクレミノ属の耐陰性常緑高木です。東北南部以南の本州~沖縄の沿岸部の暖地の照葉樹林内に自生します。樹高は9~15mです。葉は緑色で長さ5~12 cmで、葉質は厚みがありしなやかで光沢があり葉縁は全縁で互生して付きます。葉の形は、若木の時は広卵形で3裂し、成木になると卵形~長楕円形になります。梅雨~夏に、黄緑色の小花を咲かせます。花後に緑色の果実が数個ずつ枝先に集合して付き、冬に黒熟します。樹液にはウルシーノールという漆と同成分の毒性があるので肌の敏感な方は触れると被れるので注意が必要です。尚、この樹液は「黄漆」という塗料として利用されました。
万葉集では「御綱葉(みつながしは)」という名前で呼ばれており、葉を折って酒器や料理を盛る皿や覆い、さらに神饌(しんせん=神様へお供えするもの)を盛る器とされました。
微妙な名前
カクレミノという名前は、大形の葉が蓑(昔の雨具)に似ていることや、これを着ると姿を隠せるという空想上の蓑(鬼や天狗の持ち物)、実際の木が常緑なので垣根に使うと家の中が隠せること、などから付けられました。悪事を隠す手段にこの木の名が使われることがあります。
万葉集 第2巻 90番歌 左注
万葉集 第2巻 90番歌では、ニワトコ(庭常、接骨木、学名:Sambucus sieboldiana var. pinnatisecta)が万葉名の「山たづ」で歌われていました。
万葉集の原文
君之行 氣長久成奴 山多豆乃 迎乎将徃 待尓者不待
この歌に添えられた「左注」に、御綱葉(みつながしは=カクレミノ(隠蓑))の記述があります。
左注 原文
皇后 遊行紀伊國 到熊野岬 取其處之御綱葉而還。
読み
磐姫皇后 紀伊国に遊行(ゆ)きて 熊野の岬に至り その処の御綱葉(みつながしは=カクレミノ(隠蓑))を取りて還りたまひき
意味
磐姫皇后は 紀伊国に遊行されて 熊野の岬に至って そこの御綱葉(みつながしは=カクレミノ(隠蓑))を取って お帰りになった
一般名:カクレミノ(隠蓑)、学名:Dendropanax trifidus、別名:テングノウチワ、ミツデ、みつながしは(万葉名)、分類名:植物界被子植物真正双子葉類セリ目ウコギ科カクレミノ属、又名:kakuremino、原産地:日本、分布:東北南部以南の本州~沖縄 環境:暖地の常緑樹林内、生活型:耐陰性常緑高木、樹高:9~15m、葉長:5~12 cm、葉形:3裂(若木)→卵形~長楕円形、葉縁:全縁、葉序:互生、開花期:6月~8月、花序形:散形花序、花序柄長さ:3~6cm、花序長:3~4 cm、花柄長さ:1~1.5cm、花弁数:5枚、花長:0.2 cm、花色:黄緑、果実型:核果、果実形:扁球形、果実径:1 cm、果実色:緑→黒熟、用途:和風庭園、公園樹、庭木、盆栽、器具材、万葉時代は葉を酒器や皿、神饌を盛る器に、注記:樹液に漆ノールあり要注意。