ノハナショウブ
Iris ensata var. spontanea
万葉集でよまれた草木, 季節-春
- 花名ノハナショウブ
- 学名Iris ensata var. spontanea
- 別名ショウブ, 野花菖蒲, 菖蒲, Nohanasyoubu, Japanese water iris, ハナカツミ
- 原産地日本、朝鮮半島、中国
- 開花場所湿地
- 開花期6月, 7月
ノハナショウブとは
ハナショウブの親!
ノハナショウブ(野花菖蒲、学名:Iris ensata var. spontanea)は、日本、朝鮮半島、中国原産でアヤメ科アヤメ属の宿根草です。野花菖蒲はアヤメ科の宿根草「ハナショウブ(花菖蒲、学名:Iris ensata var. ensata)」の原種です。日本では、北海道〜九州の湿原や、水辺、湿地に自生します。草丈は50〜100 cmです。葉は剣形でをした緑色で葉縁は全縁(鋸歯などが無い)です。6月〜7月に、花径約15 cmの赤紫色の花被片に黄色い筋のある花を咲かせます。英名では、”Japanese water iris”と呼ばれます。
万葉名「花勝見」の候補の一つ
野花菖蒲は、万葉名では、「ハナカツミ(花勝見)」の候補の一つとしてあげられます。花勝見の他の候補には。アヤメ科のシャガ(著莪、学名:Iris japonica)や、アヤメ(文目、綾目、学名:Iris sanguinea)、ヒメシャガ(姫著莪、学名:Iris gracilipes)、さらに、アヤメ科以外のカタバミ(学名:Oxalis corniculata)や、デンジソウ(田字草、学名:Marsilea quadrifolia)、マコモ(真菰、学名:Zizania latifolia)などがあります。
万葉集では、花勝見で1首のみ詠まれています。1400年も前の話なので、現在のどの花に当たるか定かではありません。
万葉集と花かつみ
万葉集 第4巻 675番歌
作者:中臣郎女(なかとみのいらつめ)
題詞:中臣女郎贈大伴宿祢家持歌(中臣女郎が大伴家持に贈った歌)
登場する草木:花かつみ=ノハナショウブの場合
原文
娘子部四 咲澤二生流 花勝見 都毛不知 戀裳摺可聞
読
娘子部四(をみなへし、女郎花) 咲(佐紀)澤(沢)二(に)生流(生ふる) 花勝見(花かつみ、シャガ) 都(かつて、嘗て)毛(も)不知(知らぬ) 戀(恋)裳(も)摺(する)かも(可聞)
↓
オミナエシ 佐紀沢に生ふる 花かつみ 嘗ても知らぬ 恋もするかも
意味
オミナエシが (一面に)咲く沢に生える 花かつみのように 嘗て(かって)思いもしなかった 切ない恋をしています。
注記
「をみなえし 咲く」から「佐紀沢」にかかる枕詞。
「はなかつみ」:「かつて」「かつ」を引き出す序詞
ノハナショウブの特徴
赤紫色地の花弁基部(外花被)に黄色い筋(斑紋)が入ります。ハナショウブはノハナショウブの園芸品種なので、同様に、外花被の生え際に黄色い斑紋が入ります。また、ハナショウブは園芸品種で様々な育種が行われている結果、花色が多く複輪品種などもあります。
花菖蒲・菖蒲・杜若
ハナショウブ(花菖蒲)や、アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)は似ていて見分け難いです。見分けるポイントは、外花被に入る色や、模様を観察することです。
ハナショウブには黄色斑紋、アヤメには綱目状模様、カキツバタには白い筋が入ります。
また、アヤメの場合は、他2者と異なり乾燥した土地に咲きます、以下に3者のイラストを示します。
一般名:ノハナショウブ(野花菖蒲)、学名:Iris ensata var. spontanea、別名: Japanese water iris、ハナカツミ(花勝見)分類名:植物界被子植物単子葉類キジカクシ目アヤメ科アヤメ属ノハナショウブ変種、原産地:日本、朝鮮半島、中国、生息分布:北海道〜九州、環境:湿原、水辺、湿地、生活型:宿根草、草丈:50〜100 cm、葉色:緑、葉形:剣形、葉縁:全縁、花径:15 cm、花色:赤紫色地に黄色い筋、開花期:6月〜7月。