ユズリハ
Daphniphyllum macropodum
万葉集でよまれた草木, 季節-冬
- 花名ユズリハ
- 学名Daphniphyllum macropodum
- 別名オヤコグサ, 譲り葉, 親子草, ユズルハ, yuzuriha, 譲葉, ゆずりは, 楪
- 原産地中国、韓国、日本
- 開花場所庭, 公園
- 開花期5月, 6月
- 花言葉「若返り」「世代交代」「譲渡」
ユズリハとは
ユズリハ(譲葉、楪、学名:Daphniphyllum macropodum)とは、中国、韓国、日本原産で、ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木です。葉は茎先にまとまって付き、赤い葉柄が目立ちます。
春の新葉が出揃うのを待って古い葉が一斉に枯れ落ちる様子を親が子を育てて子孫が代々続いていくとして縁起の良い黄とされました、縁起物にされ、お正月の神棚に供えられたり、注連縄に付けられたり、花名ともされています。同様の現象は、別科別属ですが、クスノキ(楠、学名:Cinnamomum camphora)にも見られます。
雌雄異株で、春に、前年枝の葉腋に総状花序を伸ばし小さな花を付けます。雌雄ともに花弁がない。雄花には萼も無く、葉腋から総状花序を伸ばし薄黄色い葯だけから成る雄蕊を10個程付けます、葯は破れて花粉を出すと紫褐色になります。雌花は前年枝の葉腋から総状花序を伸ばし茶色い雌蕊だけの花を多数付けます。花後に雌株は房状の青緑色をした球形の小さな果実をぶらさげ秋に国熟しブルーベリーに似た果実を成らせます。果実表面は粉を吹いたように白くなります。残念ながら、果実にはアルカロイドをが含まれ中毒症状を起こすので食べてはいけません。
同科同属に、葉長が6〜12cmとユズリハより小さい、ヒメユズリハ(姫譲り葉、学名:Daphniphyllum teijsmannii)があり庭園樹に使われます。
学名の意味
属名の「Daphniphyllum」はラテン語の「Daphe(ダフネ、月桂樹の)」+「phyllon(葉)」の合成語で「月桂樹の葉に似ている」、種小名の「macro」は「 mokro-(長い)」+「pod(足、柄の)」の合成語で「長い葉柄」という意味です。
花言葉
「若返り」「世代交代」「譲渡」
万葉集で詠われたユズリハ
常緑で花が目立たないので万葉集では冬の花とみなされます。万葉名を「弓弦葉(ゆずるは)」といい、万葉集で以下のように詠われています。
万葉集第2巻111番歌
作者:弓削皇子 題詞:幸于吉野宮時弓削皇子贈与額田王歌
持統天皇が吉野へ行幸された時、弓削皇子(ゆげのみこ、当時20代前半、先の天皇である天智天皇の息子)が同道して、宮に残られた額田王(ぬかたのおおきみ、当時60代、天智天皇の恋人)に贈った歌
原文
古尓 戀流鳥鴨 弓絃葉乃 三井能上従 鳴濟遊久
読
古(いにしへ)尓(に) 戀(恋ふ)流(る)鳥鴨(かも)弓絃葉(ゆどるは)乃(の) 三井(御井)能(の)上従(より) 鳴(き)濟(渡り)遊久(行く)
↓
古に 恋ふる鳥かも ゆづるはの 御井の上より 鳴き渡り行く
訳
昔を 恋しく思う鳥でしょうか ユズリハが茂る 井戸の上より 鳴き渡って行きましたよ。天智天皇の恋人だった額田王へ、天皇の息子であった弓削皇子が、昔の良き時代を偲んで贈った歌です。
この歌に対して、額田王が弓削皇子に贈った返歌もありますがそれは別の機会にご紹介します。
データ
一般名:ユズリハ(譲葉、楪)、学名:Daphniphyllum macropodum、分類名:植物界被子植物真正双子葉植物類ユキノシタ目ユズリハ科ユズリハ属、別名:オヤコグサ(親子草)、ユズルハ、原産地:中国、日本、生息分布:福島以南の本州、四国、九州、樹高:10〜15m、生活型:常緑高木、葉柄:赤・白、葉質:厚く光沢がある、葉形:細長い卵形、又は、長楕円形でやや先鋭、葉長:8〜20cm、葉幅:3〜7cm、葉色:緑、葉縁:緩やかな波状、葉の観賞期:周年、花序:総状花序、雌雄異株、雌雄とも:花弁無、雄花:萼も無い、葯色:薄黄〜紫褐色、雄蕊数:6〜12個、雌花:萼片は小か無、柱頭:褐紫色で2〜4個が外側に反る、子房:狭卵形、開花期:5月〜6月、花序高:4〜12cm、結実期:6月〜12月、果実径:0.8〜1cm、果実型:核果、果実形:楕円形、果実長:1cm弱、果実色:青緑→黒で粉を吹く、結実期:11月~12月、注記:果実は毒。